色鉛筆で絵を描く授業をした。課題は「好きなもの」。
驚くことに、何を描くかに悩んだ子どもがいなかった。
みんな、描きたいものがすぐに決まる。
絵にしてもなんにしても、カンボジアの子どもは自分の思いをすぐに表現することができる。
誰かの顔色を伺って、何をするか左右される子など、ほとんどいない。
だから、20人以上いるクラスの中で、誰かと同じような絵を描く子はいなかった。
きっと普段から、自発的に自分の行動を決めるくせがついているのだ。
なにもかもやってあげてしまう日本とは違って、お父さんもお母さんも忙しいから、みんな自分のことは自分でしなくてはならない。
だから日本の子どもより、自分で何かを決めることが得意なのだと思う。
それからもうひとつ感心することは、子どもたちがすすんで、授業前の準備や後片付けのお手伝いしてくれるということ!!
例えば、足りない机や椅子があったら、自分のものでなくても運んでくる。
ホワイトボードに授業中に先生が何か書いたら、当番でもないのに誰かが必ず消して、次の授業の準備をしてくれる。
小学校1年生くらいの子どもでも、お片付けがしっかりできるのはすごい!
これも普段から、家の手伝いをすることが、生活の一部になっているから出来ることなのだろうな。
お手伝いを楽しそうにしてくれるのは、家のお手伝いをして家族に褒めてもらえたり、「ありがとう」と言ってもらえたりして、人の役に立つことはうれしいと知っているから。
今の日本では出来てないことだなぁ、と彼らを見て思ってしまう。
豊かになりすぎて、昔は家の生活で自然に子どもが学べたことが、今の日本ではできなくなってしまっているのではないかしら。
カンボジアでは学校で音楽もなければ美術の授業もないそうだけど、絵を描いている時間はみんながすごく楽しそうで、やる気もまんまん。
ちょっと描くと、すぐに私のところに持ってきて「先生、どう?どうしたらいい?」と聞いてくる。
私が美術の先生だったら、全員に意欲の項目は100点をあげちゃう。
心配していたのは、色鉛筆の数少ない色の問題。
フリースクールにある色鉛筆は全部で6色くらい、ほとんどが寒色系で、暖色は全部で5本くらいしかなかった。
暖色の色鉛筆が取り合いになるんじゃないかと少しハラハラしていたけれど、みんなが喧嘩することもなく、貸し合って絵を完成させることが出来た。
もともとものが少ないから、みんなで一緒に使うということが自然に出来てしまうんだよね。
独り占めするより、みんなで一緒に楽しみたいという考え方が自然に身に付いている。
これってすごく、素敵なことだ。
そんなふうに、みんなが優しくて一生懸命だったから、とっても味のある絵が描けた。
私からはみんなに「I LOVE YOU」と描いた。
みんなの絵の中にもたくさんの「I LOVE YOU」が描いてあって、温かい気持ちでいっぱいの授業になったのだ。

